2013年12月26日木曜日

脳神経外科学会中四地方会で演題発表しました.

12/7徳島市で行われた脳神経外科学会中四地方会で演題発表しました.

演題は『顔面痙攣術後に生じた遅発性顔面神経麻痺の3例』でした.
片側顔面痙攣に対する微小血管減圧術(MVD)後に1~2週間で発症する末梢性顔面神経麻痺で経過はBell麻痺と同じで多くは元通りに回復します.原因についてはヘルペスウイルス関与などいわれていますがいまだ詳細は明らかではありません.フロアの先生方からのコメントからは少ないけれど稀でなく経験しておられる印象を受けました.その割には論文はあまりないようで予後が良好であることから見過ごされているのかもしれません.しかし一時期にせよほぼ完全麻痺まで至ることも少なくないので今後多施設で症例を蓄積していく必要があると思われます.

徳島は駅前なとても賑やかで良いところだなと思いました.しかし今回は慌ただしく往復したのであまり町を見ることができませんでした(広島からだと思ったより移動に時間がかかります).また訪れるときは名所など行ってみたいものです.

2013年11月28日木曜日

出張手術をしてきました。

2013年11月28日 溝上達也
以前一緒に仕事をしていた後輩から手術の依頼があり行ってきました。右内頚動脈閉塞の患者さんで、脳血流検査(SPECT)にて右大脳半球に広範囲脳虚血が確認され、放置すれば脳梗塞再発のリスクが高い状態でした。手術は頭皮を養っている浅側頭動脈を中大脳動脈(脳動脈)に吻合する浅側頭動脈ー中大脳動脈吻合術を施行しました。2箇所で血管吻合を行い、1箇所は後輩に施行してもらいました。このバイパス術により頭蓋外血管から脳血管へ不足分の血流が供給され今後の脳梗塞予防効果が得られたと判断されました。
脳梗塞予防は主に内科的治療(薬剤による治療)ですが、症例によっては内科的治療に加え上記のような外科的治療が効果的な症例もあります。当院では適応患者さまには充分に説明し承諾されたならば積極的外科的予防治療を行っています。

今回でこの病院での手術は二回目ですが、慣れた道具での手術は望ましく写真の手術器具を持参しました。それぞれの施設で特徴があり、当院でも取りたい器具の発見もありました。


学会シーズンの秋

秋は学会シーズンです。アップが遅れていたのでまとめて報告します。(溝上達也)
2013年9月7日 中国四国脳血管内治療研究会 (岡山)

「経動脈的コイル塞栓術を行った特発性直接型内頚動脈海綿静脈洞瘻の一例」を発表しました。専門外の人には題名たけではなんのことやら・・ですが!
頭蓋底部内頚動脈(海綿静脈洞部)に発生した動脈瘤が破裂すると「特発性直接型内頚動脈海綿静脈洞瘻」となり眼球突出、結膜充血が突然生じ、放置すると失明したり脳出血を生じることもあり早期の治療が必要となります。頭蓋底部の骨に囲まれた部位の病変であり、開頭による治療は非常に困難でありカテーテルを使用した血管内治療が有用です。今回経験した症例は3Dイメージを駆使して破裂部位を同定することで最小限のコイルで塞栓術が可能でした。(溝上)
2013年9月21日  広島脳血管内治療フォーラム(広島)
「CFD解析による未破裂脳動脈瘤における菲薄部の特徴ー脳動脈瘤コイル塞栓術での役割」脳動脈瘤は破裂するとくも膜下出血となり重篤な後遺症が残るリスクがある疾患です。破裂の予防治療として、未破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術、クリッピング術があります。クリッピング術は開頭し直視下で動脈瘤の薄く破裂しそうな部位を確認しクリッピングが可能ですが、コイル塞栓術はX線透視下での治療であり、実際の菲薄部の確認はできません。そこで最近注目されているcomputational fluid dynamics(CFD)で解析を行い、その特徴を検討することでコイル塞栓術前でも菲薄部の予測はある程度可能である結果が得られました。(溝上)
2013年10月11日  PHOENICS  ユーザーカンファレンス(東京)
上記CFD解析は特殊な解析ソフトを用いで工学系で多く使用されています。今回我々が使用したソフトはCFD解析の老舗である”PHOENICS”です。POHENICSを開発販売しているCHAM社から我々の研究が注目され、工学系を含めた全国カンファレンスでのプレゼンテーションを依頼されました。医学でもCDF解析が注目されていることや今回解析した脳動脈瘤の治療や解析結果を報告しました。(溝上)
2013年10月18日 第77回日本脳神経外科学会総会(横浜)
毎年開催される脳神経外科で最大規模の学会です。今回は「新生児期発症水頭症に対する脳室腹腔シャント術後機能不全の検討」を報告しまいた。当院では広島県での周産期医療の中核を担っており新生児の脳疾患症例も他施設に比較して多く経験します。新生児期の水頭症(髄液の流れ、吸収障害により脳室に髄液が貯溜してしまう疾患)は小児期や成人例のそれと比較して難治例が多く、その特徴を理解し3次元画像での術前シミュレーションや内視鏡併用による治療などが必要となることを報告しました。(溝上)
2013年11月10日 広島医学会総会(広島)
年一回開催される広島県医師会主催の学会です。多岐にわたる分野から専門医の立場でプレゼンテーションが行われます。脳神経外科領域でもポスター及びビデオセッションがあり、「未破裂大型中大脳動脈瘤に対するクリッピング術」で手術ビデオを供覧しながらプレゼンテーションを行いまいした。脳動脈瘤の治療はカテーテル治療であるコイル塞栓術と開頭して行うコイル塞栓術がありますが、大きな動脈瘤はコイル塞栓術が困難である症例が多く、その場合開頭クリッピング術が必要となります。大きな動脈瘤は破裂率も高く放置する危険性も高くなりますが、クリッピングでの合併症率も高くなり、それ故術前の詳細なシミュレーション及び術中のモニタリングなどが重要であることを報告しました。(溝上)
2013年11月1日 Hiroshima Penumbra Seminar (広島)
脳梗塞で早期に再潅流すれば症状は劇的に改善することが多く、できるだけ早い入院加療が重要です。Penumbra(ペナンブラ)とは脳機能は停止しているが早期の再潅流治療で脳梗塞にならず機能も改善する領域のことです。これを商品名にしている血栓回収デバイス(カテーテルの一種)があり、このデバイスの使用経験と留意点を報告しました。(溝上)
2013年11月22日 第29回日本脳神経血管内治療学会学術総会(新潟)
血管内治療はカテーテルを使用した頭部を切らず血管の中から病変を治療するです。脳神経外科領域でも急速にこの分野は発展しつつあります。脳神経領域でもっとも多く参加のある脳神経血管内治療の全国学会ですが、今回「CFD解析による未破裂脳動脈瘤における菲薄部の特徴ー脳動脈瘤コイル塞栓術での役割」の内容(前記あり)で当院での先進的診断について発表しました。(溝上)

今年残りの学会は12/7中国四国脳神経外科学会、12/14広島脳血管内治療研究会と続きます。


2013年11月21日木曜日

雑誌『脳卒中の外科』に論文「経過観察中にくも膜下出血を発症した未破裂脳動脈瘤症例の臨床的検討」が掲載されました

脳卒中の外科(第41巻5号2013)
ポイントは3つ.
①対象の14症例中5例(35%)が発見後1年以内に破裂しており,発見から短い期間での破裂が少なくない.
②前交通動脈瘤5例中4例が発見時の大きさが3mm以下.
③破裂時の形態が評価できた6例全例でブレブが認められた.

大規模臨床試験のUCAS Japanや5mm以下の動脈瘤を追跡したSUAVe studyでも同様の結果が出ています.

①と③から発見後早期は3ヶ月後フォローアップなど検査を密にすべきと思われました.また②から前交通動脈瘤ではかなり小さいものも注意して追跡していく必要があると思われました.

登録型の前向き研究でないのが痛いところですが今後も症例を集積していきたいと思っています.

なお本号はまだですが発刊後しばらくすると脳卒中の外科のホームページからfree journalで閲覧できるようになります(J-STAGEで).もしよろしければ御一読ください.

機関紙「脳卒中の外科」 http://nsg.med.tohoku.ac.jp/jsscs/paper.html

籬 拓郎

2013年11月12日火曜日

11月は落合先生が研修に来てくれています.

11月は落合先生が研修に来てくれています.
脳外科の研修はもう4回目で完全に即戦力です.
来年度には広島大学脳神経外科に入局してくれることなっている期待の星です.

2013年10月24日木曜日

第72回脳神経外科学会学術総会参加報告

10/16発表してきました。

演題は、”頭蓋内血行再建術(EC-IC bypass)の治療成績 ”です。内容は、頭蓋内主幹動脈に高度狭窄ないし閉塞があり、血行力学的虚血状態による脳虚血発作を起こした患者さんに対する手術(EC-IC バイパス, 浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術)の治療成績についての検討です。

バイパス手術が脳梗塞予防に有効かどうかについては、従来より意見が分かれ、欧米からは内科治療に勝ることはなかった、との報告がある一方、日本ではJapanese EC-IC bypass trial (JET) studyという研究により、血行力学的虚血状態にある患者さんに症例を限定することで内科治療に対し外科治療が有用性があることが示されました(残念ながらまだ論文としてはpublishされてはいません)。

 今回の我々の結果は、術後の脳虚血発作発症率は1.73%/人年に抑えることができており、従来の報告での同様な患者群に対する内科治療の脳梗塞発症率(5.3%/人年)と比較して良好な成績だと思われました。良い結果が得られた理由として、周術期にmajor strokeの合併がなかったことが挙げられます。
 また、術後に脳梗塞発作を来さなくてもADL低下をきたしている例があり、これらはいずれも術前より認知機能障害や悪性腫瘍を合併し、その進行や認知症に起因する合併症をきたしたことが原因でした。特にADLが完全に自立できない程度まで認知機能が低下している場合の適応については慎重であるべきだろうと考えられました。

 内科治療の成績も非常に優秀ですので、術後合併症が少しでも出てしまうとこれを上回ることが困難となり、脳外科医の立場からは厳しいな、という印象があります。ただ、手術で良くなる症例も間違いなく経験しますので、そのような患者さんをrescueすべくこれからも1例1例着実に実績を積み重ねていきたいと思いました。
 
 座長の先生からは、欧米と日本の違いは周術期合併症の少なさに集約され、その理由として日本では脳外科医自身がきめ細やかな術後管理をしていることに尽きるのでは、というコメントがありました。


脳神経外科 迫口 哲彦

第72回日本脳神経外科学会学術総会 横浜 報告

  10月16日、台風まっただ中の横浜に行ってきました。僕の演題は15時からで、到着が12時30分頃と、ぎりぎりのスケジュールでほとんど何もできずに気がつけば発表時間となっていました。当院の急性期脳梗塞の超急性期治療に関して発表をしました。血管内治療に関してはまだ症例も少なくこれからのところですが、あまり質問もなく、同じセッションの発表も目新しいものはあまりありませんでした。総会で印象に残ったのは大ホールの講演での脳脊髄液に関しての演題で、CSFはcirculationすることなくmixingしているだけである、50%はリンパで吸収される、sylvian fissureとanterior pontine cisternにはCSFのblock機構がある、ということでした。今までの自分の知識とは全く違う話だったので勉強になりました。今後さらに解明されれば、現在の水頭症治療などにどう影響してくるのか興味深い話だと思いました。日帰りでしたが、無事に帰広もできました。
    県立広島病院 脳神経外科   三好 浩之

2013年10月21日月曜日

脳神経外科学会総会で演題発表しました

 籬 拓郎

横浜で開催された脳神経外科学会総会で16日演題発表をしてきました.

内容は『抗凝固療法中の頭蓋内出血発症例の臨床的検討-抗凝固療法中止時の脳梗塞発症,抗凝固療法再開を含めて』です.

心房細動等で抗凝固療法施行が増加傾向ですがそれに伴い頭蓋内出血の発症も増えてきています.演題は抗凝固(ワーファリン)施行中に頭蓋内出血について外傷性,非外傷性とも分析したものです.
結果はやはり悪く,全体では死亡率22%で転帰不良(mRS 3~6)が62%,慢性硬膜下血腫を除いた例では死亡率27.5%でした.特に非外傷性頭蓋内出血で予後が悪く死亡率32%で抗凝固を行っていない例と比較して有意に高い結果で,転帰不良は73%でした.外傷性では有意差はありませんでしたが死亡率22%であり外傷の原因が転倒など比較的軽微であることを考えると死亡率は高い結果でした.
また,出血後抗凝固療法中止中に10%が脳塞栓を発症し死亡率40%,全例が転帰不良の結果でした.抗凝固療法再開後は慢性硬膜下血腫の増大が一部みられましたが脳塞栓発症や著しい再出血はみられませんでした.

今回の検討では抗凝固療法中の頭蓋内出血は非常に予後不良である結果でした.今後新規抗凝固薬でこれがどう変化していくか追跡していく必要があります.また見逃されがちですが外傷性頭蓋内出血についても注目していく必要があり,今後転倒の危険度等も踏まえたリスク管理を行っていくべきだと考えました.また抗凝固療法再開についてはcontroversialですが塞栓のリスクの高い例では早期に抗凝固を再開すべきと思われる結果でした.







2013年10月3日木曜日

第105回広島がん治療研究会

9月29日 広島大学医学部広仁会館にて行われ、下記の演題にて発表しました。

演題:脳梁に発生した胚細胞腫の1例
胚細胞性腫瘍は通常神経下垂体部や松果体部などに好発しますが、その他の部位では稀で、小児、特に日本をはじめとするアジア人に多い脳腫瘍です。今回経験したのは、脳梁という非常に稀な発生を示した1例で、過去の報告では胚細胞性腫瘍の0.7%しかみられないものです。発表の趣旨は、若年男性で非定型的な画像の場合、胚細胞性腫瘍を鑑別として考えることが必要だということなのですが、聴衆の大部分である脳外科以外の先生にはあまりなじみのない内容であったかもしれません。
 座長を当科の溝上先生がしてくださり、フロアからは広島大学がん化学療法科の杉山一彦教授から放射線照射範囲の重要性についての教育的なコメントを頂きました。

脳神経外科 迫口 哲彦

2013年10月2日水曜日

抄読会より 注目論文 脳出血について

抄読会より. 籬 拓郎


皮質下出血に対する早期手術的治療と保存的治療との無作為試験です.

Eerly surgery versus initial conservative treatment in patients with spontaneous supratentorial lobar intracranial haematomas (STICH II): randomised trial
Mendelow AD, et al. Lancet 382, 397-408, 2013

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0140673613609861

(まとめ)
27ヶ国,78施設での多施設共同研究で,発症から48時間以内,血腫量10~100mlのテント上皮質下出血を早期手術群と保存的治療群で比較.
601例中早期手術群が307例,保存的治療群が297例で,6ヶ月後転帰不良が早期手術群で59%,保存的治療群で62%.
早期手術で死亡または6ヶ月後機能障害率は上昇しない結果であった,また生存について早期手術群で小さいが有利な結果であった.


早期手術群と保存的治療群で転帰に有意差はない結果ですが読んでみるといろいろ面白い点がありました.
①保存的治療群に割り当てられた例のうち21%で手術が必要となっている(大部分は意識レベル低下や脳浮腫).ただし研究デザインからこうした例も保存的治療群として解析されている.逆に早期手術群で手術を施行しなかったのは4%(家族の拒否など).
②予後スコア(GCS×10-年齢-0.64×血腫量) が低い(つまり予後不良)ものでは予後スコア高いものと比較して手術群で有意に予後良好.
③手術群で有意ではないが重度障害が少ない(よくいわれる手術で死亡は減るが寝たきりを増やすというわけではない).

医療ニュースやアブストラクトだけでは分からない内容が多々あるので重要な論文はきちんと全体を読まないといけないということを再確認(反省)しました.





第18回 広島老年脳神経外科研究会

 
第18回 広島老年脳神経外科研究会
 9月27日に広島大学医学部保健学科棟にて開催されました。
 
発表は各10分とやや長めでしたが、どの演題も充実した内容でした。特別講演の井上教授や座長の黒木先生のコメントで、以前は老年と言えば65歳以上でしたが、近頃は80歳以上あるいは85歳以上を超高齢者という時代になったんですねという趣旨の言葉が何度も出てきており、時代の変遷と日本の高齢化の急速な進行をよく表しているなと実感しました。頚部内頚動脈狭窄症の治療では、85歳以上では平均年齢との兼ね合いもありあまりoutcomeはよくないという結果でした。また、80歳以上でも見た目の年齢が若ければ治療は有効であるとのことで、見た目の年齢も大事だと思いました。井上教授はこれまでのご自身のCEAやCASの治療成績をまとめられて提示されていましたが、自分の手術や治療の成績をきちんとまとめることは重要であると思いました。
 脳神経外科   三好 浩之
 

2013年9月20日金曜日

9月は研修医の清戸先生が研修に来てくれています

9月は研修2年目の清戸翔先生が脳外科に研修に来てくれています.
平成24年自治医大卒,趣味はバイクとのこと.
脳外科は2回目で手術にもどんどん入ってくれてます.


2013年9月9日月曜日

中国四国脳卒中研究会で演題発表しました.

9月7日に岡山で行われた中国四国脳卒中研究会が口演発表させて頂きました.
 演題は「急性硬膜下血腫で発症した硬膜動静脈瘻の1例」で,硬膜動静脈瘻は通常脳出血をきたしますが今回非外傷性の急性硬膜下血腫で発症した1例を経験したので報告させて頂きました.

 ランチョンセミナーは東京大学脳神経外科斉藤教授の「CGによる脳血管障害の手術シュミレーション」,特別講演は新潟大学脳研脳神経外科伊藤教授の「脳動静脈奇形に対するOnyx embolizationのtips and pitfalls」でした.斉藤教授はいつもですが素晴らしい3D画像を見せて頂き(処理にどれほど高性能のワークステーションがいるのだろう),伊藤教授はOnyxの使用法の詳細を教えて頂き大変勉強になりました.

 岡山は広島からのぞみ号で30分で着くので大変便利ですが近いのでかえって市内を見て回ったりしていません.今度行くときには時間があれば少し名所など行ってみたいです.

籬 拓郎


2013年8月26日月曜日

第27回中国地方脳神経外科手術研究会

8月24日グラントプリンスホテル広島で行われた「第27回中国地方脳神経外科手術研究会」に参加しました。
当院からは「A3-A3 bypassを併用した部分血栓化大型前大脳動脈瘤のⅠ手術例」を呈示しました。この研究会は脳外科手術を中心とした会で、毎年この時期に行われます。通常の学会よりフランクな雰囲気のもと自由な討論がなされ中国地方の主たる病院から演題がだされます。今回は20題の演題がありそれぞれ意義深い内容のものでした(いつもより討論が少ない印象でしたが・・・)。一般演題の後、特別講演があり、横浜市立大学 脳神経外科 川原信隆教授が「頭蓋底腫瘍の手術」について講演されました。卓越した知識と手技が集約された素晴らしい内容でした。川原教授の研究、診療、手術に対する妥協のない姿勢にも感銘を受けました。

県立広島病院 脳神経外科 溝上達也

2013年8月22日木曜日

藤井隆司先生が県立広島病院脳神経外科に研修に来られることになりました

8月から藤井隆司先生が県立広島病院脳神経外科に研修に来られることになりました.

平成23年防衛医大卒で,2年間初期研修後に防衛医大脳神経外科に入局しておられます.
ひとまず週2回こちらで研修となっています.

2013年8月5日月曜日


2013年8月号の脳神経外科ジャーナルについて(感想など)

下記より転載
http://trymagt.blogspot.jp/2013/08/8-wt1-subtype-csdh-csdh-csdh-simple.html

8月の『脳神経外科ジャーナル』の特集は“グリオーマ 新しい時代の到来”でした.
悪性グリオーマ治療ではつい先日ベバシズマブが保険適応となりましたがさらに先進的な治療についてレビューされています.

分子標的薬について田中先生の「アメリカにおけるグリオーマの最新治療―神経膠芽腫に対する分子標的薬を中心に―  ,粒子線治療について宮武伸一先生の「腫瘍細胞選択的粒子線治療「ホウ素中性子捕捉療法」抗血管新生薬による症候性脳放射線壊死の治療,免疫治療として橋本先生の「悪性グリオーマに対するWT1ペプチドワクチン療法の現状と展望が分かりやすくまとめてくださっています.
さらに,特に分子標的薬と関連しますがその基礎となるグリオーマの遺伝子異常について園田先生が「神経膠腫発生に関与する遺伝子異常 として講義してくださっています(難しい…).
もちろん悪性グリオーマの治療に未だ決定打はありませんが今後あるsubtypeの症例については予後が改善していけるのかと期待を感じました.

他に一般脳外科医の誰もが日頃から頭の片隅に引っかかっていると思われます慢性硬膜下血腫(CSDH)と抗血栓治療との関連について,對馬先生の「慢性硬膜下血腫再発における手術法と抗血栓療法に関する検討の原著がありました.失礼かもしれませんがざっくりいうとCSDHの再発は増える傾向となるが抗血栓治療の中断による血管イベントのリスクからは術後早期に抗血栓治療を再開すべき,抗血栓治療中(特に抗凝固療法)のCSDHでは穿頭洗浄よりもsimple drainageのほうが再発は少ない,といったところでしょうか.


特集
  グリオーマ 新しい時代の到来*
      [担当]廣瀬雄一,吉本幸司
    神経膠腫発生に関与する遺伝子異常 / 園田順彦, 他
    アメリカにおけるグリオーマの最新治療
      ―神経膠芽腫に対する分子標的薬を中心に― / 田中將太, 他
    覚醒下手術の現状と課題 / 丸山隆志, 他
    腫瘍細胞選択的粒子線治療「ホウ素中性子捕捉療法」と
      抗血管新生薬による症候性脳放射線壊死の治療 / 宮武伸一
    悪性グリオーマに対するウイルス療法 / 伊藤元一, 他
    悪性グリオーマに対するWT1ペプチドワクチン療法の現状と展望 / 橋本直哉, 他
   
原著
  慢性硬膜下血腫再発における手術法と抗血栓療法に関する検討 / 對馬州一, 他
   
症例報告
  先天性眼窩海綿静脈洞巨大血管腫の1例
    ―外科的治療方法と時期,待機中の内科的治療― / 藤森健司, 他
   
神経放射線診断
  体位,嚥下により繰り返す神経症状を呈した病変 / 森田健一, 他
http://jcns.umin.jp/meeting/jornal.html

https://www.miwapubl.com/products/detail/1476

籬 拓郎